フリーの映像編集者という仕事柄、徹夜仕事もバリバリこなす
バイタリティ溢れる人。
もう若くないんだから程々にしてよね。
若手の監督さんなんかから誕生日に花束が届いちゃうような人。
タイまでカメラさんの結婚式に呼ばれて行ったこともあったっけ?
映画とお酒とタバコをこよなく愛し、
思い立ったら突然フラッと旅に出てしまうような人。
「お母さんはスペインに行ってきます」という置き手紙を見た
あの日の衝撃は、いまだに覚えています。
何歳になってもチャレンジ精神旺盛で、40代も後半になってから
スイミング教室に通って泳げるようになり、今は陶芸に夢中。
前にもらったあの角皿、正直ちょっと重いです。
もっと腕を磨いて、また作ってよね。
「ゆうこちゃんは、橋の下で拾われたんだって!」と
友だちのパパが彼女に言った冗談を鵜呑みにした幼い日の私に、
「あなたはスーパーで缶詰として売られてたの。特売だったから買ったのよ。特売じゃなかったら、もっとお金持ちのお母さんが買ってたかもね」と言った人。
なんですか、その発想。どこから出たのか不思議です。
仕事と家事をしながら、私と妹を何不自由なく育ててくれた人。
あなたのいない夜の方が多かったけれど、ケチャップでチューリップが描かれたオムライスと、「おかえり」ではじまるお手紙が書かれたノートのおかげで、寂しかった記憶がほとんどありません。
それでも思春期の頃には、ぶつかったり喧嘩したり、
あなたの生き方が理解できないこともありました。
「非行に走ってやろうかしら」という私に、
「それはいいけど転ばないでね」と笑ったあなた。
あなたはあの頃、たくさん辛いことを抱えてたよね。
今の私にはわかるけれど、若かった私には想像力が足りなかった。
きっとたくさん、たくさん傷つけたと思う。本当にごめんなさい。
いろいろいろいろ、あったよね。本当にいろんなこと。
私も少しずつあの頃のあなたの年齢に近づいてきたよ。
私にも子どもが産まれて、働く母になってみて、
あの頃のあなたのことを、最近はよく考えるよ。
私の母。
最近は1歳9ヶ月になる初孫(私の息子)にメロメロで、
オモチャや絵本を買いたくてしかたない様子の、普通のおばあちゃん。
出産のときはずっと手を握って、隣で励ましてくれた人。
(『暴れん坊将軍』の再放送を見ながらだけど)