今年の終戦記念日には、今までに例を見ない程多くの人たちが、全国各地で平和への願いを込めたイベントを行うようだ。
鹿児島在住のたぬき(本名:田上美佐子)さんは、今年も8月15日を目前にした15日午後1時半から、特攻隊員の息子と母をモデルにした「最後の約束」を舞台で演じる。場所は、鹿児島市与次郎の市民文化ホール。舞台に立つのは、たぬきさん以外にも、俳優の次男(晃吉さん)と小学2年の孫(蹴太郎くん)。孫にとっては初めての芝居だそうだ。息子の出撃を知った母が飛行場を訪ね、息子は自分の乗った戦闘機を母親に知らせようと機体から赤いテープをなびかせ出撃していったという実話を元にしたストーリー。「平和への誓いを次の世代につなげたい」。そんな思いを込めた親子3代の舞台となる。
たぬきさんは東京都出身。結婚を機に約40年前に夫の古里の鹿児島市へ移り住んだ。戦争と平和をテーマに演じるようになったのは、市内に住む被爆者の話を聞いたのがきっかけ。16年前から終戦記念日の公演を続け、ここ10年余りは県内に多く残る特攻基地や特攻隊員の話をテーマにしてきた。
現在、たぬきさんは、癌の治療中でもある。腸と肝臓にがんが見つかったのは昨年4月。昨年8月の公演後も病状は進み、体重が12キロ減った。痛みや倦怠(けんたい)感に悩まされながらも戦後70年の公演への希望を捨てず、抗がん剤の組み合わせを変えたりして闘病と稽古(けいこ)を続けてきた。初めて舞台を踏む蹴太郎君は「大好きな人たちが戦争でいなくなるのは、絶対に嫌だ」と語る。たぬきさんは「戦争を体験し、命を落とした人たちの『これで最後の戦争にしてくれ』という願いを伝えたい。親子の絆が引き裂かれた戦争中の悲劇と恐ろしさを、舞台を通じて感じてほしい。力が続く限りこれからも演じ続けたい」と話している。参考記事はこちら
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